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膝の痛み

年を重ねても自分の足でしっかりと歩くために

膝は「歩く」という人間の基本動作に密接に関わっており、膝の障害はロコモティヴシンドローム(ロコモ)に直結します。ロコモとは、「立つ」、「歩く」といった機能が低下しているおり、進行すると日常生活に障害が生じて、将来的に介護が必要になる可能性や寝たきりになる危険性が高くなっている状態です。

そのため、自分の足で一生元気に歩いていただくためには、膝を良い状態に保つことがとても重要です。しかし、膝は体重による負荷が集中しやすく、また膝関節周りの筋肉量が少ないため、疼痛や変形などの形状的な異常が起きやすい関節です。進行性の症状がみられる場合には、それ以上の悪化を食い止めることが何よりも重視されます。高齢になるほど脚そのものが持つ筋力維持も重要な課題になります。普段からの歩き方の癖や生活習慣も、膝関節のトラブルを引き起こす大きな原因のひとつとなる可能性があります。正しい姿勢を見直すことや、日常生活における動きの改善を行うことが大切です。大きな負担をかける動作のひとつに正座が挙げられます。なるべく正座を控える生活を心がけることや、骨にかかる負担を和らげるために減量や筋力アップも有効な取り組みとなります。

自分の足で一生元気に歩いていただくためには、膝に重度な痛み、変形、歩行障害が生じる前に、適切な診断・治療、根気強いリハビリテーションが求められます。当院では、専門医による正しい技術と知識に基づく適切な治療、運動指導を提供いたします。膝に違和感を生じたら、早期に一度当院までご相談ください。

主な症状

  • 腫れがある 
  • 膝を曲げ伸ばしすると痛い、曲がらない
  • 完全に膝が伸びきらない 
  • 歩き始めに痛む 
  • 立ち上がり時に痛む
  • 階段の上り下りが辛い 
  • 正座ができない 
  • 膝に水がたまる、など

膝に起きるトラブルの多くは「痛み」と「動く範囲の減少」です。これらはお互いに関係し、症状が強くなると歩行障害や日常生活の動作に支障が現れるようになります。年齢を重ねることで膝まわりの筋力が低下すると、膝への負担がさらに増大します。結果的に膝の「痛み」と「動く範囲の減少」が加速度的に悪化します。

代表的な病気

変形性膝関節症

膝の骨に変形がおきるとともに関節が炎症を起こして痛みが生じる病気です。主な原因として加齢や筋肉量の低下などによる軟骨の損傷、肥満や体質的な問題、骨密度低下、ホルモン異常などといった複合的な因子の関与が考えられています。歩行時や立ち上がり動作時に痛みが生じ、日常生活に支障がでます。特に階段を下りるときに膝が痛く、正座や和式のトイレがつらくなります。

治療は、日常生活で膝に負担をかけない工夫、内服薬、外用薬、ヒアルロン酸などの関節内注射、杖の使用、減量、サポーター装着、特殊な靴の中敷きの使用、温熱療法と筋力強化,可動域訓練などの運動療法のリハビリテーションを行います。

変形が強い場合や、症状が改善しない場合は、手術を要することがあります。

当院では、お一人お一人に適した治療メニューを行うことで、症状の進行を遅らせて、普通の日常生活に戻ることを目指します。

変形性関節症では内側関節裂隙の狭小化と骨棘の形成がみられます。

半月板損傷

膝関節のうち大腿骨と脛骨の間にある軟骨の板を半月板といいます。半月板は、膝関節のクッションの役割、軟骨の保護、動きの安定化という役割を担っているため、損傷すると膝の痛みや膝関節の曲げ伸ばしで引っかかりが生じます。悪化すると、膝に水がたまる、半月板が引っかかって動かなくなる「ロッキング」という状態になることも見られます。また長期的には変形性膝関節症に至ることもあります。

診断は、医師が手で半月板にストレスをかけることで痛みや引っかかりを再現させる検査が行われます。また、レントゲン検査やMRI検査などの画像検査も有用です。レントゲン検査では、半月板損傷に伴う関節症変化の有無について確認します。

治療はリハビリテーションや抗炎症薬の処方など保存的治療をおこない、改善しない場合には手術が必要になります。安静も必要ですが、できるだけ早く日常生活やスポーツに復帰できるよう、適切なリハビリが大切です。手術には損傷した部分を切り取る方法と損傷した部分を縫い合わせる方法の2種類があり、通常は関節鏡を使った鏡視下手術を行います。

膝蓋腱症

「膝蓋腱症」はジャンプやダッシュのような膝の曲げ伸ばし動作を頻繁に繰り返すスポーツ選手に好発します。スポーツ障害の一つになります。膝を伸ばす腱や筋肉がオーバーユースとなり膝蓋腱に損傷が生じます。膝蓋腱の修復過程の中で強い繰り返し負荷が加わることにより更なる腱損傷が起こり、正常な修復が阻害されます。その結果、腱の変性に至ると慢性化・難治化します。ジャンプ動作を繰り返す競技でよく見られることから、ジャンパー膝という名前で呼ばれることもあります。日常的にスポーツを行う10代~30代の若い世代に多く見られる疾患です。

症状は、膝蓋骨(膝のお皿)の下部からすぐ下の靭帯にかけて痛みが生じます。ジャンプ、着地、歩く、走る、膝を曲げるときなどは特に強く痛むことも特徴です。

治療法は、まとまった期間の安静、筋肉の柔軟性向上や筋力の改善をするリハビリ、局所麻酔薬の注射、内服薬を用いて炎症の緩和などです。慢性化した重症例の場合は手術が必要になることもあります。

オスグッド病

オスグッド病とは、太ももの前面にある大きな筋肉(大腿四頭筋)が成長しきっていない膝のお皿(膝蓋骨)の下骨の一部(脛骨粗面)を引っ張りすぎることで成長軟骨を剥離させてしまい、痛みや腫れが起こる病気です。成長期に積極的にスポーツをしている小学生高学年から中学生(男児は10~14歳、女児は8~12歳)に発症しやすいのが特徴です。約3割は両側性に発症します。

成長期では骨や腱の形成が未熟で弱いため、激しい曲げ伸ばし運動が頻繁に起こると腱や軟骨が剥がれ損傷や炎症が起こります。ひどくなると剥離骨折が起こり、手術治療が検討されます。腫れや熱を伴う強い痛みを生じるため、早期の適切な治療が何よりも求められます。

症状としては、お皿の下の骨(脛骨粗面)が徐々に突出してきます。同時に痛み、腫れ、熱を持ちます。

診断は、痛みの部位の診察とレントゲンで行います。レントゲンでは脛骨粗面の突出、部分的な裂離などが見られます。

治療は、急性期には各種ストレッチなどリハビリに加えて4~6週間の安静をとります。筋肉の柔軟性向上や筋力の改善をすることで痛みや進行を抑えます。内服薬を使うことで炎症を和らげます。亜急性期には局所麻酔薬とステロイドの注射を行うこともあります。予防は太ももの前の筋(大腿四頭筋)のストレッチやスポーツ後のアイシングなどが有効です。

膝靱帯損傷(前十字靭帯損傷・外側側副靭帯損傷・内側側副靭帯損傷・後十字靭帯損傷)

膝関節を安定させる靱帯として、内側側副靱帯、外側側副靱帯、前十字靱帯、後十字靱帯があります。膝関節は支える筋肉量が少ないため、これらの靭帯にかかる負荷が大きくなります。そのため傷めやすく、交通事故や激しい動きを伴うスポーツが原因となって靭帯損傷が起きるケースが多くみられます。受ける外力が大きくなると単独の靱帯損傷ではなく、複数の靱帯に損傷をきたしてくることもあります。受傷すぐの時期は、膝関節部の痛みや腫れが主な症状です。しばらくすると腫れは軽減してきますが、膝崩れや膝の不安定感が現れてきます。

ほとんどの場合は膝装具やギプス固定による保存的治療によって治療可能ですが、完全に断裂してしまった場合には手術治療が必要となることもあります。

膝蓋骨骨折

転んで膝の皿をぶつけた時に生じる骨折です。症状は膝の痛み、腫れです。痛みのため膝を動かすことや歩くことが難しくなりますが、立っていることは可能です。

診断は、痛みの部位の診察とレントゲンで行います。詳細な検査としてCTを行うことがあります。

治療は骨折部がずれていなければギプスや下肢装具装着による安静、固定、松葉杖を用いて足をつかないような歩行訓練などを行います。骨折部がずれている場合は手術が必要です。

診断に必要となる各種検査について

レントゲン

関節の骨に関して形態的な異常の有無について詳しく観察することができます。またさまざまな角度に膝を曲げて内部の骨の動きを観察することが可能なため機能的な問題を確認することも可能です。さらに複雑な動作においてもレントゲン検査では連続した撮影が可能なため、どのような動きをした際に痛みを生じるかを画像と結びつけることができます。

MRI

靭帯や腱、筋肉などといったレントゲンでは捉えにくい軟部組織を可視化し、内部的な異常を明らかにすることができます。半月板や靭帯の損傷などはMRIとの併用を通じて精緻な診断を行うことが可能となります。

血液検査

痛風、関節リウマチ、化膿性膝関節炎(細菌による関節炎)など、変形性膝関節症以外の病気と区別するために血液検査を行うこともあります。

治療について

症状や程度によって必要となる治療内容は細かく異なりますが、膝の異常は初期の段階で適切に対処することができれば、重度な症状に陥る前に食い止めることが可能です。特に膝関節の半月板損傷や靭帯損傷などは早期段階での治療が奏功するケースが多くみられます。

薬物療法

消炎鎮痛剤などを用いた投薬治療や、軟骨のクッション性を補填するヒアルロン酸の関節内注射も病状を改善するために有効な手段となります。

リハビリテーション

効果的なリハビリテーションを用いた治療が必要となります。手術が必要となる場合にも、早い段階から痛みを軽減するための正しい動かし方を確認しながら膝周りの筋力トレーニングやストレッチ、歩行指導を積極的に行います。

装具治療

膝関節への負担を軽減するために専用のギプスやサポーターの装着、足底板(インソール)を利用した体全体にかかる荷重バランスの調整などが細かく行われます。

当院の取り組み

「歩けなくなる、寝たきりなどを、いかにして予防していくか」について、整形外科に携わる者として常に念頭に置きつつ患者さんに向かい合っています。

当院では、お一人お一人に適した治療メニューを行うことで、症状の進行を遅らせて、普通の日常生活に戻ることを目指します。痛みは年のせいだと思い込まず、まずは整形外科専門医にご相談下さい。

手術を要する重症度の高い患者さんについては、提携している高次医療機関へのご紹介、さらに専門性の高い治療を必要とされるケースにも柔軟に対応いたしております。

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