メニュー

骨粗しょう症

骨粗しょう症の何が問題なの?

  1. ある日突然骨折がおきること
  2. その骨折が原因で健康寿命が短くなるまたは介護が必要な状態になること

骨粗しょう症による骨折の好発部位は以下の3カ所です。

脊椎圧迫骨折

重いものを持ち上げる、前屈みの姿勢をとる、転倒するなど背骨に過度な負担がかかることで起きやすい骨折

大腿骨頚部骨折

尻もちをついた、転倒した、脚をひねったなどで受傷する股関節の骨折

橈骨遠位端骨折

転倒した際に手をついて受傷することが多い

骨粗しょう症が原因で生じた脊椎圧迫骨折では長い年月をかけて徐々に背中が曲がっていきます。上半身の前傾によって腰背部の筋肉が緊張すると、しばしば立つことや歩くときに強い腰背部痛が起こります。さらに背骨の変形が進行すると、それに伴い体全体にゆがみが生じてきます。直接的な痛みだけでなく、背骨が曲がることにより内臓が圧迫されて肺活量の低下、食欲不振、逆流性食道炎、便秘など内科的なトラブルを起こすことにつながります。大腿頚部骨折はほぼ全例で手術適応になりますので、骨折が治っても機能障害が残り、歩行能力が低下することが多く見られます。そのような状態が続くと、外出や運動を避けるようになり、徐々に介護が必要な状態や寝たきりへ発展してゆきます。

運動器(脊椎や手足、股関節)の骨折は要支援、要介護になる方の12.5%を占めており、大きな原因の一つです。
骨粗しょう症は骨折が生じやすくなるだけでなく、生活の質や健康寿命に関係する疾患です。

「いつのまにか骨折」

「いつのまにか骨折」という言葉があります。本人が気づかないうちに生じた背骨の圧迫骨折です。尻もちや転倒で発生する脊椎圧迫骨折は強い痛みを伴うことが多いので骨折したことがわかります。それに対して骨粗しょう症が存在すると、くしゃみや重いものを持ち上げるなどといった日常の些細な負担が骨折のきっかけとなることがあります。この場合は痛みが少ないかわずかのため気づかず、後日たまたま受けた検査で判明するケースが多くみられます。

「くりかえし骨折」

骨粗しょう症による骨折は、いったん生じると、続けて骨折する可能性が高いことが知られています。例えば、脊椎圧迫骨折は1個でも骨折していると周りの骨に負担がかかり、2個、3個と骨折がドミノ倒しのように次々に起こっていきます。つまり、骨折が進んで、どんどん背中や腰が曲がってしまう可能性が高まるのです。次々に骨折することを「くりかえし骨折」といいます。

骨折をくりかえすと、どうなるの?

骨粗しょう症が原因で起こる骨折は、生活の質や身体機能に大きく影響します。1箇所が骨折すると周りの骨に負担がかかり、さらに骨折しやすくなるのも特徴です。骨折が進むといっそう体が曲がり歩行困難になり、内臓にも影響するなど生活の質の低下につながります。骨折を繰り返すたびに健康状態は悪化し、骨折を起こす前の状態に戻すことは難しくなっていきます。

これを予防するためには「ひとつでも骨折が起きたら、早めに検査をおこない、骨粗しょう症があれば治療を開始すること」が大切です。

骨粗しょう症とは?

加齢とともに誰にでも起こりえる疾患です。

骨粗しょう症とは骨密度と骨の質が低下するにより全身の骨がもろくなり、骨折しやすい状態になることをいいます。骨粗しょう症の有病率は 50歳以上の女性の24%、50歳以上の男性の4%を占め、最新の統計では約1,280 万人(65才以上の方の3人に1人)といわれています。しかし治療を受けている方は200万人しかいません。すなわち相当に多くの方が骨粗しょう症を放置しているのです。

骨粗しょう症は60歳以上の女性に多くみられますが、閉経を迎える更年期の女性も注意が必要です。骨の新陳代謝と女性ホルモン(エストロゲン)は密接な関係を持っており、ホルモン量の低下とともに骨密度も急激に低下してゆきます。また女性は骨を支える筋肉量が男性より少なく、骨粗しょう症の進行とともに骨折しやすくなる傾向があります。

我が国における大腿骨近位部骨折の発生数は、年間約19万件とされています。さらに頻度が高い骨粗しょう症性椎体骨折は年間30万人から100万人も発生している推測されます。椎体骨折が多発化した場合や骨癒合しない場合は強い疼痛や脊髄神経の麻痺が生じることもあり、寝たきりとなる可能性もあります。

骨は「破壊」と「再生」を繰り返して日々作り直されています

骨は一度できあがってしまうとその後変わらないもののように思われがちですが、 実際には古くなり劣化した骨は、メンテナンスされて新しい骨へと生まれ変わっています。 古くなった箇所を破骨細胞が壊し(骨吸収)、新たに埋め戻す作業(骨形成)を骨芽細胞が担います。これが骨の新陳代謝です。健康な骨では、骨吸収(骨を壊す働き)と骨形成(骨をつくる働き)のバランスがつり合っています。
しかし何らかの異常によってバランスが乱れると、骨の再生サイクルがうまく回らなくなり質の悪い骨を作り出すようになります。その結果、骨粗しょう症の骨では、骨吸収がどんどん進んで骨形成を上回ってしまい、骨がスカスカし、もろくなるのです。

このような症状あったら骨粗しょう症かもしれません

  • 背中が曲がる
  • 身長が縮む
  • 腰が痛い

骨粗しょう症そのものは痛みなどの症状がない疾患です。そして、長期間にわたって緩やかに進行していくことが多いためどうしても発見が遅れがちになります。骨折にまで至らないケースでも強い痛みが生じる、背中の曲がりや背が縮むという異常はよく見られます。

骨粗しょう症への心構えは?

1.日常生活の中で予防すること

まずは早期に「今のご自身の骨の状態を正しく知ること」が第一歩です。
そして重篤な状態になる前に、日常生活の中で発症および進行を「予防する」という発想が非常に重要になります。

2.根気強く治療を継続すること

近年ではさまざまな研究が進み、治療法も多岐に渡る取り組みが行われるようになりました。しかしながら骨の再生にあたっては緩やかな改善を見守ることが基本です。適度な運動習慣と栄養バランスを考えた毎日を積み重ね、適切な薬物療法を併用しつつ、1年あるいは2年以上という息の長い治療で効果を得ることができます。痛みが消えた、なかなか骨密度が上がらないから、といって治療を中断しないことが大切です。

骨粗しょう症が生じやすい方

ご高齢の方および閉経を迎えられた女性

骨粗しょう症は60歳以上の女性に多くみられますが、閉経を迎える更年期の女性も注意が必要です。骨の新陳代謝と女性ホルモン(エストロゲン)は密接な関係を持っており、ホルモン量の低下とともに骨密度も急激に低下してゆきます。また加齢により腸管でのカルシウムの吸収が悪くなり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きも弱くなります。若い頃よりも食事量や運動量が減るといった生活習慣の変化も関係します。

脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折の既往がある方

過去に三大骨折(脊椎圧迫骨折・大腿骨頚部骨折・橈骨遠位端骨折)を患われた経験のある方は、将来的に骨粗しょう症になるリスクが高いことがわかっています。三大骨折の既往のある方はできるだけ早期に骨粗しょう症の治療を開始されることが望ましいとされています。

その他の危険因子

  • 喫煙
  • 飲酒
  • 運動不足
  • 喘息やリウマチなどによるステイロイド薬の内服
  • 低体重(BMI22以下) など

骨粗しょう症の治療

1.骨粗しょう症の治療は、将来の骨折を防ぐ「予防」です

骨粗しょう症の治療は「運動」と「食事」が基本です

骨粗しょう症の治療にあたっては「運動」と「食事」が基本となります。それに加えて骨の新陳代謝のバランスを整えるために適宜、薬物療法が用いられます。

「運動」

骨は適度な負担をかけることでさらに強くなるという性質があります。無理のない範囲で適度な運動を加えることで骨に良い刺激が伝わり、骨代謝が活性化されます。同時に骨を支えるための適度な筋肉も鍛えられます。

「食事」

骨を作るために主に必要とされる成分はカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質などです。毎日の食事にバランス良く取り入れて過不足なく摂取することが大切です。

2.薬物治療

食事からの栄養吸収と運動による適度な負荷に加え、骨代謝サイクルをさらに活発に促すための飲み薬や注射剤を必要に応じて追加します。

「骨吸収(骨を破壊する)」を抑制する薬(例)
  • ビスホスホネート製剤 ※錠剤・ゼリー剤・注射剤など
  • 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
  • 抗RANKL抗体薬
「骨形成(骨を作る)」を促進する薬(例)
  • 副甲状腺ホルモン製剤テリパラチド
「骨吸収」と「骨形成」両方に作用する薬
  • ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤
骨の代謝に必要な栄養素
  • 活性型ビタミンD
  • ビタミンK
  • カルシウム

当院の取り組み

骨粗しょう症は加齢とともに誰でも起こり得る疾患です。

超高齢化社会となり健康寿命を延ばすことが重要視されている現代において、骨粗しょう症対策は必須です。当院では一人一人の患者さんの状態にあわせて最適な治療を行っております。お気軽にご相談ください。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME